以前は、外食でも洗濯バサミでナプキンを留めていました。色気も何もないですよね。安全ピンでは危ないし、どうしようか悩んでいたらこのネックレスをいただいて、「これや!」と。
手芸屋さんで買ったクリップとパール調の留め具を組み合わせて手作りした、オリジナルです。緑と赤と全部で3色あって、クリップにキラキラ(ラインストーン)を付けたものもあります。女の子のケータイみたいに、デコりました(笑い)。
母とは週に2~3回外食をするので、その日の服に合わせて自分で選んでもらう。やっぱり喜びますよ。「かわいいですね」と外でほめてもらうと、「娘が作った」と嬉しそうに自慢する。認知症で孫の名前は忘れているけれど、娘のことは「智恵ちゃん」って覚えている。このチェーンがあることで私は今も母の心の中にいるみたいです。
お出かけ用の靴にもキラキラを付けました。介護用なので軽くて滑らないなど優れている半面、真っ黒で面白味がない。もうハイヒールは履けないけれど、女性ですから足元まで気を遣いたい。おしゃれする気持ちがなくなったら、もっと認知症が進むと思う。母の自己欲求をアップするために、「きれいだね」「いいね」と声をかけられるグッズを作りたい。
チェーンは評判がよくて、「仕事にしたら?」といわれますねん(笑い)。
介護を始めた当初は棒につかまって立てたけれど、今はひとりでは歩けないし、トイレもできません。ただ座ることができるから、チェーンや靴が使えるんです。でも、座れなくなったら、外食も楽しめなくなる。
去年要らなかったものが今年は必要になり、来年は要らなくなる。その繰り返しです。だからこそ母の段階に合わせて、今必要なグッズを気分よく使ってもらう工夫が大切なんでしょうね。
※週刊ポスト2015年4月24日号