投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、4月27日~5月8日のドル・円相場の見通しを解説する。
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4月27日-5月8日週のドル・円は、日米首脳会談や金融政策への期待感から強含みに推移すると予想される。円安要因としては、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や民間機関投資家による外貨建て資産投資増額期待、日米金利差拡大観測などが挙げられる。円高要因としては、中東の地政学的リスクの緊迫化や日米金融政策の現状維持などが挙げられる。
【日米首脳会談】(4月28日)
日米首脳会談では、貿易面での対中包囲網を目論んだ環太平洋経済連携協定(TPP)の協議が難航している間に、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)による対日米包囲網が構築されたことで、合意に向けた進展が予想されている。TPPの日米交渉が進展した場合、ドル高・円安要因となる。
【日米の金融政策】
28-29日の連邦公開市場委員会(FOMC)では、米国の1-3月期の景況感の低迷は悪天候によるものであり、4月以降は景気回復軌道に戻るとの楽観的な見方から、6月のFOMCでの利上げ開始の可能性が示唆されるか否かを見極めることになる。
30日の日本銀行金融政策決定会合では、日本のコアインフレ率と日本銀行の物価目標2.0%の乖離幅が2%程度に拡大していること、「展望レポート」が公表されることで、追加緩和策の可能性が高まっている。しかしながら、黒田東彦日銀総裁が「サプライズによって効果出すこと考えていない」と述べたことで、予断を許せない状況となっている。
【日米のインフレ率】
30日に発表される米国3月のコアインフレ率(コア個人消費支出PCE価格指数)は、前年比+1.4%と予想されており、予想通りならば、早期利上げ観測が高まることになる。
1日に発表される日本の3月のコアインフレ率は、前年比+2.1%と予想されており、消費増税の影響(+2.0%)を除くと、+0.1%となる。日本のコアインフレ率が日銀の物価目標(+2.0%)を大幅に下回っていることで、日本銀行の追加緩和観測が高まりつつある。
【米国4月の雇用統計】(5月8日)
米国の4月の雇用統計は、失業率が5.5%程度、非農業部門雇用者数が+20万人程度ならば、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが開始される可能性が高まることになる。また、3月の非農業部門雇用者数(+12.6万人)の改定値が上方修正された場合、ドル買い材料になるとの見方が多い。
4月27日-5月8日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。