「今回のケースでは、衝突された対向車側が『注意を怠らなかったこと』を証明できなかった。そのため、過失がなかったとは言い切れず、賠償責任が生じたのです」(加茂氏)
たとえ自分に「過失があったわけではない」としても、「過失がない」ことを証明できない限り、もらい事故でも賠償責任を負いかねないことになるのだ。
賠償だけではない。例えば自動車保険は1~20の等級に応じて割引率が決まる「等級制度」があるが、損害賠償を保険金でまかなうと基本的に3等級ダウンし、事故翌年度から3年間は保険料が割高となる。
それもまだいい。犯罪者になる可能性さえ出てくる。
「仮にもらい事故で自分が無過失だったことの証明ができない場合や、それなりの過失があると判断された場合、相手方が刑事告訴して立件される可能性も皆無ではありません。
もらい事故だからと油断しないことです。事故後は警察任せにせず、自ら事故現場を撮影したり、証言者を確保したりするなどして、自分に過失がないことを裏付ける証拠集めをすることが重要です。ドライブレコーダーを取り付けるのも手でしょう」(前出・加茂氏)
※週刊ポスト2015年5月8・15日号