ビジネス

契約社員 「5年ルール」適用で正社員になれるわけじゃない

「5年ルール」で労働環境どうなる?

「5年ルール」という言葉を聞いたことがある人はいるだろう。

 これは、パートやアルバイト、契約社員など非正社員の勤続年数が5年を超えたとき、会社から契約期間の定めを外してもらえる制度。2013年4月に労働契約法が改正されたことにより、新たに労働者に与えられた権利だ。

 そこで、「自分は優に5年以上は契約で働いているから、すぐに正社員になれる!」と早とちりする人が多いが、残念ながらそこまで雇用形態をガラリと変えることのできる制度ではない。

 社会保険労務士の稲毛由佳さんが解説する。

「法律が会社に義務づけているのは、契約期間を“期間の定めのない契約”に変更することだけ。

 たとえば、〈週3日、1日6時間、時給1000円、1年契約〉の条件で働いているパートさんは、1年契約を無期にできるだけで、その他の労働条件は従来のままというのが原則です。ボーナスや退職金は期待できないと考えたほうがよさそうです」

 それでも定年前の雇用が安定するだけマシだと思う人はいるだろう。しかし、「5年ルール」の適用を会社に申し出ることで、かえって不利益な労働条件を突きつけられる恐れがあるというから厄介だ。稲毛さんが続ける。

「契約期間を外す条件として、会社がフルタイム勤務を促したり、職種や部署の変更、もっとひどいケースでは給与の引き下げを提示してきたりすることも考えられるので、注意が必要です。それならば、契約の変更を申し出るのはやめようと引き下がる労働者が増える可能性があります」

 改正労働契約法では、5年ルールへの変更によって労働条件が悪化することを防ぐため、以下のような条文が設けられている。

〈期間の定めのない契約の変更時に契約期間以外の労働条件を変えることが会社の就業規則で定められていても、不利益な労働条件は無効〉

 だが、たとえばフルタイム勤務を希望する人がいる一方、家庭や子育てとの両立で労働時間が増えるのは困る人もいるだろう。“不利益”の感じ方は人によって180度異なるため、最終的に会社側と揉めた場合には、裁判に訴えるしか手がなくなる。

関連記事

トピックス

還暦を過ぎて息子が誕生した船越英一郎
《ベビーカーで3ショットのパパ姿》船越英一郎の再婚相手・23歳年下の松下萌子が1歳の子ども授かるも「指輪も見せず結婚に沈黙貫いた事情」
NEWSポストセブン
ここ数日、X(旧Twitter)で下着ディズニー」という言葉波紋を呼んでいる
《白シャツも脱いで胸元あらわに》グラビア活動女性の「下着ディズニー」投稿が物議…オリエンタルランドが回答「個別の事象についてお答えしておりません」「公序良俗に反するような服装の場合は入園をお断り」
NEWSポストセブン
志穂美悦子さん
《事実上の別居状態》長渕剛が40歳年下美女と接近も「離婚しない」妻・志穂美悦子の“揺るぎない覚悟と肉体”「パンパンな上腕二頭筋に鋼のような腹筋」「強靭な肉体に健全な精神」 
NEWSポストセブン
「ビッグダディ」こと林下清志さん(60)
《還暦で正社員として転職》ビッグダディがビル清掃バイトを8月末で退職、林下家5人目のコンビニ店員に転身「9月から次男と期間限定同居」のさすらい人生
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を訪問された佳子さま(2025年8月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《日帰り弾丸旅行を満喫》佳子さま、大阪・関西万博を初訪問 輪島塗の地球儀をご覧になった際には被災した職人に気遣われる場面も 
女性セブン
鷲谷は田中のメジャーでの活躍を目の当たりにして、自身もメジャー挑戦を決意した
【日米通算200勝に王手】巨人・田中将大より“一足先にメジャー挑戦”した駒大苫小牧の同級生が贈るエール「やっぱり将大はすごいです。孤高の存在です」
NEWSポストセブン
侵入したクマ
《都内を襲うクマ被害》「筋肉が凄い、犬と全然違う」駐車場で目撃した“疾走する熊の恐怖”、行政は「檻を2基設置、駆除などを視野に対応」
NEWSポストセブン
山田和利・裕貴父子
山田裕貴の父、元中日・山田和利さんが死去 元同僚が明かす「息子のことを周囲に自慢して回らなかった理由」 口数が少なく「真面目で群れない人だった」の人物評
NEWSポストセブン
8月27日早朝、谷本将志容疑者の居室で家宅捜索が行われた(右:共同通信)
《4畳半の居室に“2柱の位牌”》「300万円の自己破産を手伝った」谷本将司容疑者の勤務先社長が明かしていた“不可解な素顔”「飲みに行っても1次会で帰るタイプ」
NEWSポストセブン
国内未承認の危険ドラッグ「エトミデート」が沖縄で蔓延している(時事通信フォト/TikTokより)
《沖縄で広がる“ゾンビタバコ”》「うつろな目、手足は痙攣し、奇声を上げ…」指定薬物「エトミデート」が若者に蔓延する深刻な実態「バイ(売買)の話が不良連中に回っていた」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
【美しい!と称賛】佳子さま “3着目のドットワンピ”に絶賛の声 モード誌スタイリストが解説「セブンティーズな着こなしで、万博と皇室の“歴史”を表現されたのでは」
NEWSポストセブン
騒動から2ヶ月が経ったが…(時事通信フォト)
《正直、ショックだよ》国分太一のコンプラ違反でTOKIO解散に長瀬智也が漏らしていたリアルな“本音”
NEWSポストセブン