「自分は自由だと思ってきたけれど、いろいろなしがらみの中でもがいてきて、本当の自由を得ていないことに気づいた。少しでも本当の自由を獲得するために、残りの人生を努力をしていこうと思っている」

 そして生徒たちにメッセージを贈った。

「ここにいる全員が自由であることを忘れないように。みんなは何をしてもいいんです。自分で責任を負える範囲ならば。自由は闘いです。より大きな、そして本物の自由を得られる人間になってください」

 そこに気づいてから、死ぬための準備が少し変わった。かつて、自分の葬式はお経は5分以内、食事はカマタの好きな焼肉やカレーを出すようにと遺言にも書いた。が、最近は死んだ後はどうでもいい。葬儀はなくてもいいとさえ思うようになった。むしろ死ぬ前にやるべきことがはっきりしてきたとでもいおうか。

 これまでたくさんの人のおかげで生きてこられた。そしていろいろな人にチャンスをもらった。だからこそ、いただいたものをお返ししなければいけないと思い始めたのだ。

 自分の経験や自分の人脈は、若者たちにバトンタッチする。蓄えた貯金も全部還元してゼロにする。世界の子どもたちの役に立てるように、使い切らなければいけないと思っている。

 死は間違いなく近づいている。なぜ死ぬのか。それは生まれてきたから。生まれるのは偶然、死ぬのは必然だ。死はすべての人にとって必然なのである。

 今は体中にエネルギーがあふれている。死を怖れずに、老いていくことを怖れずに、できるだけおもしろく時間を過ごしたい。人の役に立つように自由にこだわって生ききってみたいと思っている。

※週刊ポスト2015年8月7日号

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