ビジネス

訪日観光摩擦 東京・富士山・京都・大阪でトラブルが続出中

観光地はどこも訪日外国人であふれている

 夏休みを終えたばかりの人には気が早いかもしれないが、9月の大型連休むけに国内旅行の予約にチャレンジしてほしい。きっと、宿も電車も予約がとりづらくて驚くだろう。思うように旅程を組めないのは「急増している外国人観光客と宿泊・移動・食・遊びの機会を奪いあう『訪日観光摩擦』が発生しているからです」と、日本唯一のゲストハウスジャーナリストでインバウンド事情にも詳しい向井通浩さんが事情を説明してくれた。

「昨年から東京と大阪を中心に宿泊予約が難しくなり、急増する訪日観光客と日本人とで奪い合っている状態です。これから紅葉シーズンを迎える京都、LCC就航が多い関空がありUSJ人気が高い大阪はますます予約が難しくなります。目的地は大阪なのに市内はおろか府内でも宿がない、京都観光が目的なのに奈良や神戸まで行かないと部屋が取れない状況です」

 ためしにシルバーウィークの9月19日から2泊の予定で予約サイトで大阪市で泊まれる宿を探したところ、西成区の1泊2999円の次に、5万円以上のホテルが並ぶ状態だった。

 関西地区の訪日客人気は高い。みずほ総合研究所の試算では、大阪と京都の訪日延べ宿泊者数は2019年に東京を上回る見込みだ。そのため新規ホテル開業のニュースが相次いでいるが、内容をよく見ると古い物件のリノベーションや買収による新装開店が少なくないため、ベッド数比較ではあまり増えていないのが実情だという。最近では、宿を求めて以前なら日本人には敬遠されたあいりん地区のゲストハウスでも、すぐに満室になる状態が続いている。

 また、貸切バスでまとまって移動するツアーよりも個人旅行を選ぶ訪日客が増えている。その結果、新幹線や成田エクスプレスの予約、通勤で利用する地下鉄やバスでも日本人と場所の取り合いが発生している。

「訪日客といえば成田で入国して東京、富士山、京都を観光し大阪で出国するゴールデンルートを貸切バスで移動するのが定番でした。最近では、中国やタイのビザ緩和で個人旅行を選ぶ人が増え、彼らの目的地とその移動手段が日本の生活路線と重なることが増えてきました。

 通勤ラッシュの地下鉄へ大きなバッグを持ち込む、昼間の路線バスに大勢で乗ってきて病院へ向かうお年寄りが座れないなど、日常生活で観光客との摩擦が起きています」(前出・向井さん)

 個人旅行でやってきた外国人観光客は、日本人が好む食べ物を同じように食べたいと願う。彼らが頼りにするのはネットの情報で、特にトリップアドバイザーのステッカーが貼られていると信用し、並んでも店に入る。そういった浅草の人気店では「相席」をめぐってしばしばトラブルが起きているという。

「庶民的なお店で混雑すると、日本では店側が相席をお願いするのは当たり前。だから外国人にも同じようにお願いしたら、理屈がわからずトラブルになったという話をよく聞きます。ビュフェでも、ローストビーフが出てきたら、大皿ごと自分たちのテーブルへ持って行ってしまうようなことがたびたびあり対応に苦労しているとか。どちらかと言えば日本の常識が特別な場合もあり、彼らには悪気がないだけに、説明と理解に苦労しているそうです」(前出・向井さん)

関連キーワード

関連記事

トピックス

行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
SNSで「卒業」と離婚報告した、「第13回ベストマザー賞2021」政治部門を受賞した国際政治学者の三浦瑠麗さん(時事通信フォト)
三浦瑠麗氏、離婚発表なのに「卒業」「友人に」を強調し「三浦姓」を選択したとわざわざ知らせた狙い
NEWSポストセブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン