コラム

ドイツ発のリーマン・ショック級の危機発生に備えよと専門家

 世界的に情勢が不安定な状況の中、これからの為替はどうなるのか。30年以上の経験を持つ為替のスペシャリストで、バーニャマーケットフォーカスト代表の水上紀行氏が今後のユーロ/ドルの相場展開について解説する。

 * * *
 ある情報が耳に入ったのは、しばらく前のことでした。2015年6月に米大手格付け会社スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(S&P)が、ドイツ銀行の格付けを2段階下げていたというのです。

 ドイツ銀行といえば、ドイツ最大手の銀行であり、なおかつ、世界でもトップクラスの銀行です。このドイツ銀行が、デリバティブ(金融派生商品)を使って、ギリシャの債務の保証人という形になっており、ギリシャがデフォルト(債務不履行)に陥れば、ドイツ銀行に無制限の支払い義務が生じることから、2段階の格下げになったもようです。

 さらに調べてみると、ドイツ銀行のデリバティブ取引の残高は75兆ドルにのぼり、ドイツのGDP4兆ドルをはるかに上回っているということが判明しました。

 そして、10月末に、ドイツ銀行は、従業員8万人のうちの3万5000人を、これから2年間で削減すると発表しました。従業員数のほぼ、半分を削減する一方、デリバティブ取引の残高が天文学的な数字というミスマッチは、いやが上にも、頭の中で警戒信号が点滅しました。その危機の規模といい、世界を巻き込んだ金融危機の再来の可能性があります。

 さらに、ドイツ銀行のみならず、既に大スキャンダルとなったフォルクスワーゲンの不正問題も発覚し、同社に最大で180億ドル(約2兆1600億円)の制裁金が米当局から科せられる見通しとなっています。しかも、ドイツの輸出依存度は、対GDP比で44.8%と日本の17.1%をはるかに上回っています。

 また、ドイツはGDPの10%を自動車産業に依存しているということで、この点からも、フォルクスワーゲンの世界的な販売不振が続けば、ドイツ経済に多大な悪影響を及ぼすことになるものと思われます。

関連キーワード

トピックス

中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
愛子さま、初の単独公務は『源氏物語』の特別展 「造詣が深く鋭い質問もありドキっとしました」と担当者も驚き
愛子さま、初の単独公務は『源氏物語』の特別展 「造詣が深く鋭い質問もありドキっとしました」と担当者も驚き
女性セブン
“くわまん”こと桑野信義さん
《大腸がん闘病の桑野信義》「なんでケツの穴を他人に診せなきゃいけないんだ!」戻れぬ3年前の後悔「もっと生きたい」
NEWSポストセブン
中森明菜
中森明菜、6年半の沈黙を破るファンイベントは「1公演7万8430円」 会場として有力視されるジャズクラブは近藤真彦と因縁
女性セブン
食品偽装が告発された周富輝氏
『料理の鉄人』で名を馳せた中華料理店で10年以上にわたる食品偽装が発覚「蟹の玉子」には鶏卵を使い「うづらの挽肉」は豚肉を代用……元従業員が告発した調理場の実態
NEWSポストセブン
報道陣の問いかけには無言を貫いた水原被告(時事通信フォト)
《2021年に悪事が集中》水原一平「大谷翔平が大幅昇給したタイミングで“闇堕ち”」の新疑惑 エンゼルス入団当初から狙っていた「相棒のドル箱口座」
NEWSポストセブン
昨年9月にはマスクを外した素顔を公開
【恩讐を越えて…】KEIKO、裏切りを重ねた元夫・小室哲哉にラジオで突然の“ラブコール” globe再始動に膨らむ期待
女性セブン
稽古まわし姿で土俵に上がる宮城野親方(時事通信フォト)
尾車親方の“電撃退職”で“元横綱・白鵬”宮城野親方の早期復帰が浮上 稽古まわし姿で土俵に立ち続けるその心中は
週刊ポスト
大谷翔平の妻・真美子さんの役目とは
《大谷翔平の巨額通帳管理》重大任務が託されるのは真美子夫人か 日本人メジャーリーガーでは“妻が管理”のケースが多数
女性セブン
17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン
殺人未遂の現行犯で逮捕された和久井学容疑者
【新宿タワマン刺殺】ストーカー・和久井学容疑者は 25歳被害女性の「ライブ配信」を監視していたのか
週刊ポスト