3つ目は、日本企業の「意識変化」だ。日経CNBCコメンテーターを務める、ケイ・アセット代表の平野憲一氏が解説する。
「昨年から上場企業の行動指針を定めた『コーポレートガバナンス・コード』が導入され、各企業は2人以上の社外取締役を置くことや、内部留保を株主へ還元することを求められるようになった。海外の企業では当たり前のことなので、外国人投資家にとってこの変化は好材料に映ります。コードを守ることがさらに徹底されるようになれば投資先を求める外国人投資家の買いが入り、株価の押し上げにつながります」
そしてレポートで挙げられた最後の項目が「新たな産業革命」という追い風だ。世界では自動運転やロボットなどの技術革新が進み、「第4次産業革命」と呼ばれている。そのカギを握るのがIT(情報技術)などの最先端技術である。
「スマホやその他の精密機械に利用されるセンサーなどの部品は日本企業の製品が多く、世界中から必要とされている。そうした技術面での強みは近未来に実現する自動運転車(スマートカー)などにも活かされることになります。これは中長期的に見て大きなプラス要因です」(前出・真壁氏)
最近、日産自動車やトヨタ、ホンダが相次いで自動運転車の実用化を表明して話題になった。ソニーの半導体「イメージセンサー」や村田製作所の「積層セラミックコンデンサ」はスマホ製造に欠かせない技術として世界的にシェアを広げており、ほかの電子部品各社の業績も伸びている。もともと評価が高かったが、その後、一時的に低迷した日本メーカーが新時代に向けて再評価されるというのだ。
※週刊ポスト2016年2月5日日号