かつて、シェア10%割れの劣勢からキリンを逆転したアサヒはカラーが異なる。昔は営業などにスター社員がいたが、いまはスターをつくらない方針。小路明善・アサヒビール社長も「スターはいらない。みんなで勝つ」と公言している。

「チーム内で仕事のできない人がいると、1日をつぶしてでも皆でその人の面倒をみるという。組織論として『2・6・2理論』(※注)があるが、アサヒでは仕事のできない2割の社員をできるようになるまで育てようという雰囲気がある」(永井氏)

【(※注)ひとつの集団は、積極的でやる気に満ちた人が2割、その反対で消極的でやる気のない人が2割、残りの6割はどちらにもなりうる平均的な人たちにグループ分けできるとする考え方】

 そうしてチーム力を上げるので、営業力は格段に高い。1987年に発売した「スーパードライ」でシェアを急拡大させることができたのもその営業力があったからだ。

※SAPIO2016年3月号

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