投票所では5つの投票箱を順に回る。最初に渡される衆院小選挙区用の投票用紙には公明党と選挙協力をしている「自民党のP候補」の名前を書き、次の投票箱の衆院比例代表は「公明党」という党名を記入する。
参院の投票も、選挙区に公明党候補が出馬していない1人区や2人区なら、「選挙区は自民、比例は公明」という方針は同じ。3番目の参院選挙区の投票用紙には「自民党のQ候補」の名前を記入するが、注意が必要なのは4番目の参院比例代表だ。
投票は党名でも候補者名でも有効だが、公明党は近畿、九州などブロックごとに支援する重点候補を決めており、支持者に政党名ではなく「公明党のR候補」と重点候補の名を書く方針を徹底してきた。
参院の比例は候補者名を記入し、衆院の比例は候補者が顔なじみでも、候補者名を書くと無効票となってしまうのだから紛らわしいことこのうえない。
ましてやどの候補、どの政党に投票するか迷っている有権者には、4つの選挙の候補者を間違えないようにするだけで頭が痛い。大半は、名前も顔もよく知らない候補者ばかりだ。
混乱は投票日だけではない。むしろ、選挙前の方がたいへんだ。
現在、ダブル選挙をにらんで各地の政党掲示板などには、参院と衆院の候補者の写真が並ぶ2連ポスターや3連ポスターが貼られている。このポスター、いざ選挙戦が始まると種類も量もその比ではなくなる。
小学校の校門横には衆院と参院の選挙区候補者用ポスター掲示板が2本並び、他に各党の衆参の比例代表候補のポスター、「比例は○○党に」といった政党ポスターなどが街中にあふれる。有権者は誰がどの選挙の候補者なのかを見分けるのに一苦労だ。
※週刊ポスト2016年3月25日・4月1日号