A案では競技場の周囲をプラントボックス(育成容器)に植えられた樹木が覆う。害鳥被害に加え、その維持管理にも多額の費用がかかる。
屋根をはじめとした木材のメンテナンス、樹木管理など競技場全体の維持管理費を合わせると、完成から20年で、建設費と同額程度の費用負担が発生している可能性があるという。その費用を誰が負担するのかは議論の俎上にすら載っていない。
「もし、管理が行き届かなければ、2040年頃には、プラントボックスの樹木は荒廃して見る影もなくなり、広大な敷地の中心に灰色に変色した巨大な“廃墟”がポツンと建つ。そんなことも考えられます。このままでは新国立は国民にとって“レガシー”ではなく、“負債”になりかねないのです」(伊東氏)
※週刊ポスト2016年4月15日号