“オリーブオイルメジャー国”の産品だからといって、すべてが高品質なわけではない。昨年イタリアでは、偽装問題でメーカー数社が摘発された。スペインも2012年に「スペイン産オリーブオイルの品質とトレーサビリティのチェック強化」を行ったが、その数カ月後、消費者団体が市場に出回る製品を調査したところ、全体の3分の1が虚偽表示を行っていたという。
こうした実情は、日本ではほとんど知られていない。そこには消費者の傲慢が見て取れる。「食の安全」に目くじらを立てるクセに、ブランドや流行には飛びつかずにはいられない。食品の成り立ちを知ろうともせず、「コスパコスパ」と安価な商品を求めてしまう。
偽装オイルが日本に向けて出荷されたのは、そうした姿勢のツケだとは考えられないか。メーカーや流通業者が消費者の求めにばかり目を向けた結果、起きたバタフライエフェクト――。結局のところ、偽装させているのはわれわれ消費者なのだ。高級ホテルで起きた食品偽装からまだ何年も経っていない。消費者の気質が変わらなければ、食品偽装は何度でも繰り返される。