ちなみに、社員旅行は会社にとっては従業員に対する福利厚生の要素もあるため、旅費は福利厚生費として経費で落とすことも可能だが、その場合には条件がある。税理士の落合孝裕氏が解説する。
「参加者が全社員(工場や支店で行なう場合には事業所単位)の50%以上であること。そして、会社負担分は1人あたり10万円程度で、4泊5日(海外旅行は現地の日数)以内と定められています。
その条件を逸脱して豪華な社員旅行代を会社が負担した場合は、社員に給与を与えたと見なされて課税対象になってしまいます」
過去には、会社が負担した社員旅行代が高すぎると税務調査で否認され、その後、最高裁まで争って会社側が負けたケースもある。落合氏が続ける。
「その会社は土木建築工事の請負業者で、2泊3日、社員10人と外注先の従業員などを連れてマカオへ社員旅行に行きました。最高級ホテルに1人1部屋で宿泊し、1人当たりの費用24万1300円を会社が全額負担したそうです。
やはり福利厚生費でとどめるには、1泊~2泊の旅行で10万円を超える分は、社員の自己負担にして毎月少しずつ給料天引きの積み立てにするのが一般的なケースといえます。
業務に見合った視察やセミナーなどを兼ねる場合は全額認められることもありますが、細かな行程や費用の内訳を求められるので注意が必要です」
社員旅行のシーズンは秋だが、GW明けの今ごろから具体的なスケジュールを練る会社が多いという。さて、新しい社員旅行のスタイルや旅費の多寡によって、本当に社員のモチベーション、定着率に変化が表れるのか。後々検証してみるのも悪くないだろう。