このt-PAのおかげで脳梗塞や心筋梗塞の治療効果が飛躍的に高まった。だが、問題もある。
「薬剤が1回20万円ほどするなど高額なのです。またt-PAは時間との戦いで、発症して4時間半以内でなければ投与することができません。その時間を過ぎてしまうと、血管が詰まった部分に壊死が起きる可能性があり、血栓を溶かして血流を回復させると出血するリスクが高まる。すべての脳梗塞の患者に使えるわけではない」(同前)
さらに米国心臓病協会、同脳卒中協会による最新治療ガイドラインでは、t-PAの投与だけでなく、別の処置も加えた治療法が勧められている。新小山市民病院・島田和幸院長が言う。
「t-PAの投与で血栓を溶解させることに加え、ワイヤ状の器具で血栓を絡め取るステント型血栓回収機器の使用が推奨されることになりました」
※週刊ポスト2016年6月3日号