日本オリーブオイルソムリエ協会理事長の多田俊哉氏


◆「原産国」表示はあてにならない
 
 信じられないのは品質だけではない。ボトルに明記されている「原産国」表記もまったくあてにならないというのだから驚きだ。

「日本の法律では、ボトル詰めされた場所が属する国が原産国、ということになっています。つまりボトル詰めがイタリアでされていれば、中身がイタリア以外のどこかで作られたものでもイタリア原産という表記をしてよいということになります。これは他の国でも同様です」(多田氏)

 この制度を巧みに突いて、他国から輸入したオリーブオイルをイタリア国内でボトル詰めして、「イタリア産」と明記して販売するケースが後を絶たない。1990年から2006年にかけてのイタリアのオリーブオイル貿易統計をみると、イタリア国内の消費量と輸出量の合計よりも生産量が50万トンも足りないという不自然な結果となる。あなたが手にしたボトルに「イタリア産」と記されていても、決して鵜呑みにしてはいけない。イタリア以外の国で作られたオリーブオイルである可能性が濃厚なのだ。

◆「値段」が高くても品質の保証にはならない

「そうはいっても品質偽装は安いオイルの話、私は百貨店で値段の高いオイルを買っているから大丈夫」…ここまで読み進めてきた方のなかには、そう高をくくっている方もいるかもしれない。しかし結論から先に申し上げれば、残念ながら値段が高くてもまったく品質の保証にはならない。多田氏は本を執筆する傍ら、都内の有名デパートや高級スーパーで発売している商品を購入し、実際に中身を検証してみたが、有名デパートAでは15品中11品が偽物、高級スーパーBでは18品中15品が偽物だった。

「重要なのは、品質は価格と関係がないということです。むしろ品質偽装された商品は、その偽装をカモフラージュするためにも、ふつうに売られている輸入ブランド商品と同等の価格設定をしているはずです」(多田氏)

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