1個の細胞内に30億の塩基対があり、推定されるヒトの全遺伝子数は、約2万5000個だ。そのうち、がんに関連する重要な遺伝子は、20~400個と推計されている。実は、がん遺伝子に異常が起こると異常な機能をもつタンパク質が、がん細胞内に産生される。これらの機能を抑えることで、がんを治療するのが分子標的治療薬だ。
「すでに分子標的薬が適応かどうかを調べるために、多くの医療施設で遺伝子検査が行なわれています。例えば、大腸がんなどの分子標的薬である抗EGFR抗体薬は、K-ras遺伝子が変異していると効きません。そこでK-rasの12番と13番のコドン(塩基配列)だけを検査して薬の適用を決めてます。クラーク検査は、K-ras遺伝子の188あるアミノ酸を網羅的に検査し、それ以外の変異についても確認します」(西原統括マネージャー)
クラーク検査は、検査対象の遺伝子数が24と160の2種類ある。現在、日本で使われている分子標的薬は約60種で、この60の標的になっている遺伝子は25~30といわれている。つまり、160の遺伝子を調べれば、十分に対応可能ということになるのだ。
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2016年7月15日号