「“~していい”という規定以外は一切の作戦行動が禁じられます。自衛隊は法律上の根拠規定がないと一切の身動きが取れず、機動的な活動ができません。世界の軍隊から見ても極めて特殊な規定です」(潮氏)

 例えば領海侵犯した軍艦や潜水艦に対し、世界の軍隊と自衛隊の対応は異なる。

「他国の軍隊は、まず相手に警告し、従わなければ警告射撃や爆雷を落とすなどの手段を講じ、最終的には撃沈を含めた措置を取る。一方、平時の自衛隊に認められているのは、ポジティブリストである警察官職務執行法7条などに準じる警察権の行使であり、相手に対し、正当防衛または緊急避難の要件に該当する場合以外は、相手に危害を加える武器使用はできない。相手が発砲するか、その素振りを見せるまで、武器は使えません」(潮氏)

 任務中にテロ行為を受けた隊員に許されるのも、正当防衛としての武器使用だけであり、軍隊としての組織的な「武力行使」はできない。そればかりか、警察官同様、後に過剰防衛で起訴されることもある。加えて専守防衛を掲げる自衛隊は兵器も制限される。

「他国を直接攻撃する兵器、例えば対地攻撃力をもつ大陸間弾道ミサイル(ICBM)や長距離戦略爆撃機、攻撃型空母などは保有できません。普通の軍隊は攻撃力と防衛力を均衡させるが、日本はPAC3など防衛力に大量の予算を注ぎ、国防上のバランスが悪い。国防軍になったら軍事上、必要な通常兵器を装備することになるでしょう」(潮氏)

※SAPIO2016年8月号

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