また、ストリーミングでのスポーツ中継サービスにとって特徴的なのは、視聴回数を比較すると試合そのものよりも、ダイジェストがしばしば上回ることだ。
「スマホの利用時間を調べると、電車で移動中や寝る前に布団の中でなど、生活時間のすき間を埋める使い方をしています。それをSNSやLINEで消費しているのですが、その同じ時間帯にダイジェスト動画を見ているんですね。リオ五輪でも、たとえば、朝起きてから出勤中にダイジェスト動画を見て内容を確認するといったことをしている人が多くみられました」(前出・西田さん)
4年後の東京五輪開催のころには、ネット中継を利用したスポーツ観戦はさらに進むとみられている。注目選手にフォーカスして編集されるテレビ中継とは異なるアングル、たとえばマラソンならトップ集団ではなく第2グループや第3グループの映像を見られるようにする予定だ。さらに、中継そのものだけでなく、見る楽しみ方も広がりそうだ。
「誰かと一緒に観戦して楽しみたい、そのスポーツにまつわる細かいデータを確認したいという、より詳しいファンも満足できるサービスになってゆくと思います。
今はファンが自主的にTwitterで検索して誰かと一緒に楽しむ方法をとっていますが、今後は、中継数は少ないもののニコニコ動画やAbemaTVのスポーツ中継で実現しているような、ストリーミングの画面と一緒に利用できるサービスが追加されると思います。また、詳しい情報を求める人向けなので、雰囲気ではなく論理的な解説と、参照データを多く提供することをサービス提供側も目指しています」(前出・西田さん)
スポーツ観戦が文化として浸透しつつあるいま、あまり関心がない人にも届くよう配慮された、応援コメント繰り返したりするようなスポーツ中継では、飽き足らない人が少なくない。そんな人たちが満足できそうな観戦スタイルの選択肢に、ストリーミングサービス、ネット中継が加わった年として2016年が記憶されるのは間違いなさそうだ。