そういった意味ではカイザーバルは秋華賞を狙いたい。去年9月の阪神で新馬勝ちし、3月の君子蘭賞で2勝目。7月末の道新スポーツ賞(札幌 芝1500メートル)は1番人気だったものの6着でしたが、古馬にもまれた経験に期待したいところです。

 そして、春のクラシックで苦杯をなめたリオンディーズは神戸新聞杯に出走予定です。しかし目指すのは菊花賞ではなく2000メートルの天皇賞・秋です。本番に出ないのにトライアルに使うなよという声が聞こえてきそうですが、阪神2400メートルで折り合えるかどうか見てみたい。折り合えるとなれば種牡馬価値も上がります。圧勝するよりも折り合って勝ってほしいと期待しています。

 その先、ジャパンカップに行くのか有馬記念を目指すのか。距離が少し長いということになれば香港も視野に入ります。秋のトライアルは多様性が楽しみだといえます。

●すみい・かつひこ/1964年石川県生まれ。中尾謙太郎厩舎、松田国英厩舎の調教助手を経て2000年に調教師免許取得。2001年に開業、以後15年で中央GI勝利数23は歴代2位、現役では1位。ヴィクトワールピサでドバイワールドカップ、シーザリオでアメリカンオークスを勝つなど海外でも活躍。引退馬のセカンドキャリア支援、馬文化普及、障害者乗馬などにも尽力している。引退した管理馬はほかにカネヒキリ、ウオッカ、エピファネイア、ラキシス、サンビスタなど。

※週刊ポスト2016年9月30日号

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