最も明確な違いは、『ローラの休日』が食材の分量や、「ローラのおすすめ」と題して調理や美容のポイントを表示していること。さらに、ローラさんと食材をアップや真上などの多彩なカメラワークで撮って、CMのような上質な映像を作り込んでいます。
一方、共通点は、コーナーの長さが3~4分であること、アシスタントなしの1人語り、自分で食べて「すごくおいしい!」という自画自賛の3点。ただ、調理の技術や手際の良さは、もこみちさんに軍配が上がります。すでに4年半放送されているだけあって、もこみちさんは千切りもみじん切りもスピーディーで、一切の動作によどみがありません。肉も野菜ものんびり切るローラさんに比べると、視聴者が思わず見入ってしまうエンターテイナーとしての魅力があります。
もう1点、見逃せないポイントは放送時刻。『MOCO`Sキッチン』の7時50分台に対して、『ローラの休日』は7時40分台と先行放送しています。これは「先に放送して視聴者を引きつけよう」という意図であり、後発ならではの強みとも言えますが、視聴者は「両方見られる」というメリットとして考えればいいでしょう。
こうして細部のディテールを見ていくと、『ローラの休日』が、「健康・美容志向の視聴者」「分量を表示」「映像の作り込み」という『MOCO`Sキッチン』の課題を意識して作られていることが分かります。
しかし現時点では、『MOCO`Sキッチン』の「高い位置から塩を振る」「完成した料理にかける“追いオリーブオイル”」「もこみち流のダジャレ」などの視聴者が盛り上がる独自色は見えません。もこみちさんのような「スーパーに置いていない食材を手間や予算無視で使う」などの予定不調和なプランも見られず、「タレントの料理コーナーにしてはツッコミどころがない」ところに物足りなさを感じます。