インフルエンザの流行が収まらない。厚生労働省の発表では、全国5000か所の医療機関から1月30日~2月5日の1週間に報告されたインフルエンザの患者数は、1医療機関当たり38.14人。前の週より1.27人減少したものの、まだまだ高い水準だ。国立感染症研究所が発表した、同じ週に全国の医療機関を受診した患者数は、約199万人にものぼる。
「とはいえ、風邪がひどくなった程度でしょ。時間がたてば治る」と侮っている人もいるかもしれない。しかし、インフルエンザと風邪の症状はかなり違う。多くの風邪がせきやくしゃみ、鼻水、のどの痛みなど呼吸器の症状が出た後で熱が出るのに対し、インフルエンザではまず38~40度の発熱と、頭痛や関節痛、倦怠感などの全身症状がいきなり表れる。
そして恐ろしいことに、インフルエンザが重症化すると合併症を引き起こし、時に死に至るケースもある。その1つがインフルエンザ脳症だ。みやがわクリニック院長の宮川浩一さんが解説する。
「インフルエンザ脳症の症状は、けいれん、意識障害、異常行動の3つで、熱が急激に上がった時になりやすい。目がうつろになったり、わけのわからないことを口走ったり、興奮して走り回ったりします。怖いのは、発熱で脳が正常に活動をしなくなっているのが原因で、本人には自覚がないこと。場合によっては熱が出始めてから2、3日で死に至ることもあります。知的障害、てんかん、高次脳機能障害などの後遺症が残ることもあるので注意が必要です」
インフルエンザ脳症は幼い子供や10代の若者が発症する例が多く、国立感染症研究所の調査では、2015/2016年シーズンのインフルエンザ脳症の報告数は225人で、8割が19才未満。うち14人が死亡している。
しかし、成人でも5人の死亡例があるから、大人だからといって安心はできない。
「10代がなりやすいのは、まだ脳が未発達なためですが、抵抗力が弱っていれば成人でもなる可能性はあります」(宮川さん)
※女性セブン2017年3月2日号