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角居勝彦調教師 メンコとブリンカーつける意味と効果解説

角居調教師が馬装具をつける意味を解説

 競走馬、とくに経験の浅い馬にとって、世の中には怖いものがたくさんある。その怖さを利用して、集中力を高める方法がある。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」から、馬装具とその効果について解説する。

 * * *
 野生動物の本能で、馬は生き残るために視覚と聴覚を研ぎ澄ます。

 馬の視野は350度(人間はせいぜい200度)といわれ、それぞれの目で別のものを見られる。聴覚にもすぐれ、レーダーのように左右別々にくるくる回して、あらゆる方向から音を聞ける。後方からしのび寄る肉食動物の気配をいち早く察知するためです。

 しかし、その本能がレースでは災いになる場合がある。そこで必要なのが走りに集中させるための矯正馬具です。

 もっともポピュラーなものがメンコ。覆面ですね。今ではファッションのように厩舎カラーで顔を覆う馬も多いようですが、馬は音に驚いて想定外の行動をとったりすることがあるので、耳を覆うことで聞こえてくる音を緩和します。

 ちなみに耳覆いのないメンコを見かけるのは、音には神経質ではないものの顔に砂がかかるのをいやがる馬のためのもの。パドックでメンコをしていたのに、本馬場では顔を顕わにする馬がいます。パドックのザワつきが気になる場合です。

 ブリンカーは目の後ろにつける覆い。他の馬の動きを気にさせないよう、気持ちを前方に集中させます。使用には事前申請が必要で、競馬新聞には「B」の記号が付きます。申請したら必ず使用しなければいけません。使わないと「道具忘れ」で調教師にペナルティが科せられます。

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