国立長寿医療センターの調査(2011年)によれば、60歳以上で耳疾患の既往症のない男女792人のうち17.4%に耳垢栓塞が認められた。栓塞があるグループはないグループに比べて平均4.1デシベルほど聴力が悪かったという。
もうひとつのタイプが「感音難聴」だ。前出・坂田院長が解説する。
「外耳・中耳に問題がある伝音難聴と違い、音を感じる内耳や、聴覚の神経そのものに障害が発生するタイプです。この場合、テレビやステレオのボリュームを上げてもあまり聞こえるようにはならず、治療によって完治することはほとんどありません」
感音難聴の特徴的な症状が「言葉の聞き分けが難しくなること」だ。
たとえば、雑踏の中での会話が聞こえにくくなったり、雑音やBGMがなく、滑舌のよいアナウンサーが話すニュース番組なら聞き取れても、複数の人が同時に喋るようなバラエティ番組では、何を話しているかわからないことがあるという。
※週刊ポスト2017年4月7日号