手術にあたっては、事前に患者の歯を守るマウスピースを制作しておく。手術当日は患者に全身麻酔をかけてマウスピースと開口器を装着し、病変部を確認して手術を開始する。手術時間は、がんの大きさや場所により違い、1~2時間程で終了。術後数日は、鼻に挿入した管から流動食を挿入するが、それ以降は状態を見ながら口からの食事を開始する。
ダヴィンチ手術は、直径が4センチまでの早期がんで、舌根部にできた中咽頭がんを得意とする。それ以上大きいがんは、周囲への浸潤が強いことが予想されるため、適応としていない。
「海外では咽喉頭がんに対するダヴィンチ治療は、放射線治療と変わらない成績が報告されています。しかし、日本はまだ症例数が少ないのと日本人は欧米人に比べて顎が小さいので、他の治療と比べ、どの程度優位であるかの検証を行なっていく必要があります」(清水臨床准教授)
東京医科大学病院では、先進医療のための症例募集は終了したが、現在は一歩進んだ臨床研究開始に向けての準備を行なっている。
●取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2017年4月14日号