親父は「お前が戦争に行かずに済んだのはオレのおかげだ」と口癖みたいにいっていたね。たしかに親父のズボラのおかげで助かったわけです(苦笑)。親父は近所の人から「蝶々さん」と呼ばれるくらい、いつもフラフラしている人だった。おふくろは反対にしっかり者でした。

 日大三中で野球部に入った時も、おふくろは大反対。野球好きだった親父が「オレからうまくいっとくから」というものの、結局なかなか切り出せず、グローブもなかった。左利きなのに部室に転がっていた右利き用のグローブを使ってたよ。おかげで左利き用のグローブを使い始めた時は、野球が簡単だったね(笑い)。

 おふくろは僕が中学2年の時に亡くなったけど、もし生きていたら大学で野球部に入ったり、野球を職業に選ぶこともなかったかも。結局僕の野球人生は親父のズボラのおかげ。僕のいい加減な性格も親父譲りで、だから誕生日なんてどうでもいいんです(笑い)。

※週刊ポスト2017年5月5・12日号

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