サラリーマンの退職金や年金の運用を謳う定期預金商品を見ると、信用金庫や信用組合の商品の中には、年利1%を超えるものも存在する。
メガバンクや大手地銀に比べて信金・信組は破綻リスクが高いと言われるが、それでも元本1000万円とその利息まではペイオフ(預金保護)されることから、リタイア世代にとっては信金・信組の高金利定期預金は有力な選択肢のひとつとなるだろう。元三井住友銀行中野支店長で『京都かけだし信金マンの事件簿』の著書がある菅井敏之氏はこう話す。
「メガバンクでは1000万円預けていても小口預金者ですが、信金や信組であれば500万円でも大口預金者として丁重に扱われる(笑い)。そうした密な関係性は“数字に表われない利息”といえます」
そこにはメガバンクや地銀などが「株式会社」であるのに対し、信金や信組が地域や組合員の相互扶助を目的とした「非営利法人」であるという違いがある。
「やや乱暴な言い方ですが、銀行は株主のために存在し、信金や信組は地域の個人のために存在している。たとえば、遺産相続の際に相談に乗ったり、アルバイト先などの紹介を顧客サービスとして行なったりする信金や信組もある。特別な大金持ちでも無い限り、退職した一個人にも親身に接する営業スタイルは銀行では考えられません」(菅井氏)
※週刊ポスト2017年5月19日号