ペット医療には健康保険制度がなく、いわゆる“標準治療”もない。すべてが“自由診療”であり、診療代をいくらにするかは「獣医の言い値」(都内動物病院の獣医)という現実がある。
「治療価格は、設備投資額や人件費などを踏まえ、採算の取れる水準に設定されることが多い。中には内装などに手を掛け、富裕層をターゲットにして高額な治療を提供しようとする動物病院もある」(同前)
できる限りの治療を受けさせたいのが飼い主の心情だけに、獣医にとって治療費をつり上げやすい構図といえる。ペット保険会社の社員はこういう。
「軽度の下痢なのにレントゲンを撮った、ワクチン注射に来ただけなのに血液検査もさせられた、といった“無駄な検査・治療”が少なからずある。飼い主の無知や焦りにつけ込んでいるとしか思えない」
だからこそ、飼い主には適切な治療と適正な価格水準の知識が必要となる。
※週刊ポスト2017年5月19日号