液体燃料の場合、発射直前に燃料を注入しなければならず、燃料車や電源車など発射部隊による作業時間が必要であるため、即応性に欠ける。しかし、固体燃料であれば常時装填済みなので、TEL単独での移動が可能で、発射命令と同時に発射できる。金正恩は固体燃料のICBM(大陸間弾道ミサイル)を開発しているが、日韓向けの液体燃料エンジンを固体燃料に換装させる可能性は低く、固体燃料問題は日本に影響を与えるものではない。

 1994年の米クリントン政権時代の「第1次核危機」ではできなかったピンポイント攻撃が、今では可能になっているが、限定空爆などによって金正恩の核・ミサイル開発の意志を放棄させることは不可能であることだけは疑いなく、金正恩体制を崩壊させる以外に方法はないと考えられる。

文■惠谷治

※SAPIO2017年7月号

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