延期の理由に挙げた「いろいろあった」とは、時期的に見て森友学園問題で国会の厳しい追及にさらされたことを指すのだろう。
このパーティー計画にはもう一つ重大な問題がある。「大臣規範」に抵触している疑いが濃いことだ。2001年に閣議決定された大臣規範に次の一項がある。
〈政治資金の調達を目的とするパーティーで、国民の疑惑を招きかねないような大規模なものの開催は自粛する〉
政治資金問題に詳しい岩井奉信・日本大学法学部教授が指摘する。
「規範に“大規模”の定義はないが、目安としては、1000万円を超える資金を集める特定パーティーが自粛対象と見られています。会場の規模(鳳凰の間の定員は立食形式で500人。会費2万円)から考えると稲田氏がそれ以上の規模のパーティーを計画していた可能性は高い。中止したとはいえ、企画したこと自体が問題なのです」
渡部氏は稲田氏の初当選以来、後援会長として支え続けてきた人物だ。稲田氏が“タカ派のプリンセス”として短期間で出世階段を登り、「初の女性総理」の最右翼とみられるようになったのも、保守論壇の大立者である渡部氏という後ろ盾を得たことが追い風になったのは間違いない。渡部氏と親交があった自民党関係者がいう。
「稲田大臣は批判されるようなパーティーの挨拶文を恩人の渡部先生にお願いしたばかりか、亡くなった後まで名前を利用するようなことをした。恩を仇で返したという誹りは免れない」