「例えば、同じ『液状の薬』を謳っていても、処方薬が“病気を治療する目的”であるのに対し、市販薬は“症状を一時的に緩和させる”ためのものです。しかし、その違いを理解して服用している人は少ない。
それにもかかわらず、『近くにあるから』といった理由で、処方薬の代わりに市販薬を使うと、思わぬ体調不良を招くことがあるのです」
胃薬は、胃痛の原因によって使うべき薬が異なってくる。
「市販の胃薬のうち『H2ブロッカー』などいくつかの種類のものは、胃酸を減少させることで胃の不快感を抑えます。食べすぎによる胃酸過多の胃痛には効果があるものの、胃酸不足による消化不良の場合は症状を悪化させてしまうことがわかっています。また、胃酸には食べ物に含まれる菌などを殺菌する効果があるため、胃酸が少なくなるとウイルス性胃腸炎に罹りやすくなります」(宇多川氏)
冒頭に紹介したAさんのケースは、食事が原因の胃痛ではなく、ウイルスが原因のものだったために、胃薬が効かなかったのだという。
※週刊ポスト2017年9月15日号