◆住職も「知らなかった……」
9階建ての梅旧院光明殿は1995年に建設され、屋内に3000基以上を収容。「関西屈指のスケール」「駅から徒歩5分」などを謳い文句に、1基50万~800万円と幅広い価格帯の納骨スペースを販売してきた。
こうしたビル型納骨堂は、田舎にある先祖代々の墓の管理が手間になって“墓じまい”をする人や、都市部の墓地が高額で手を出せない層に人気を博している。
梅旧院光明殿は、納骨堂の開設許可を受けた曹洞宗の寺院である宗教法人「梅旧院」と別に、運営会社の「光明殿」が宣伝・販売などを展開してきた。お墓コンサルタント・吉川美津子氏が解説する。
「墓地や納骨堂の経営は、地方公共団体や宗教法人のように公共性・永続性のある団体にしか認められません。ただ、お寺には販売のノウハウがないため、民間企業が開発の資金援助をした上で、販売代理店のような役割を担うケースが増えています」
今回の事件を踏まえて考えると、疑念が浮かぶ。たとえ自治体や宗教法人にしか開設・経営の許可が下りなくとも、民間企業が運営に深くかかわれば、その経営が傾いた時に墓地や納骨堂の永続性にも問題が生まれるのではないか。