経費削減のために航空会社がフライトシミュレーターを使った訓練へとシフトしていく中で、この飛行場への年間の着陸回数は200回程度まで落ち込んでいる。近年は、航空自衛隊の基地として活用することも検討されてきた。そこに、友連会からの触手が伸びた。

 下地島は尖閣諸島までわずか200km。中国機が尖閣上空の領空に近づいた場合、ここからなら空自のF15が短時間でスクランブルできる。友連会はリゾート開発をちらつかせ自衛隊基地化を妨害できないかを探っていたのではないか。さらに後日談がある。

「じつは一行を案内してから数か月後に、在沖縄米国総領事館の職員と会う機会がありましたが、『中国の人たちを下地島に案内したでしょう』と言われ、『なぜ分かったのか』とドキッとしました」(藤村氏)

 沖縄の離島を舞台にした米中の情報戦が垣間見える。

●たけなか・あきひろ/1973年山口県生まれ。北海道大学卒業、東京大学大学院修士課程中退、ロシア・サンクトペテルブルク大学留学。在ウズベキスタン日本大使館専門調査員、NHK記者、衆議院議員秘書、「週刊文春」記者などを経てフリーランスに。著書に『沖縄を売った男』。

※SAPIO2017年11・12月号

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