2016年のデータでは、東京の大学・学部で定員割れを起こしているのは全体の15.8%に上る。なかには歩留まりの読み違いで、定員を割ってしまった有名大学・学部も含まれるが、入学者が定員の5割を切っている学部もある。
定員割れ学部で最も多いのが文学部と理工学部で、音楽学部、経営学部、人文学部などが続く。しかし、これらは音楽学部を除いて大手大学にほぼ設置されている学部であり、今さら譲渡を望む大学は少ないと見られる。
ただ、文系学部ばかりの大学では、理工学部の譲渡ニーズはあるかもしれない。やはり多くの大学に設置され、受験生の取り合いになっているような学部は譲渡の対象にならないだろう。経営不振の大学では譲渡したいだろうが、果たして受け入れる大学があるかどうかは疑問だ。教員がすばらしいのであれば、スカウトしてくればいいだけだ。
人気の医療系でも定員割れを起こしている大学もあり、看護学部など新設を構想するのなら譲渡ということもあろう。ただ、定員割れしている学部だけでなく、すでに学校法人同士の統合で見られるように、今は学生が集まっているものの、この先の少子化による厳しい大学経営を考えて譲渡することだって考えられる。
研究の多様化を目指し、医学部だってほしいと考える大学はある。スポーツ系の学部の新設を考えるのなら、体育学部も譲渡の対象になると見られる。
こう考えてくると、どこまで譲渡が成立するかは疑問な面もある。ただ、新学部を設置しようとの構想が出た場合、まずは活用しようと検討される方法だ。
今後は譲渡したい大学・学部、譲渡を受ける大学を仲介するシステムもあったほうがいいだろう。スムーズに大学再編を進めるために、例えば譲渡したい大学が学部を登録でき、譲渡を望む大学が閲覧できるようなシステムが必要ではないだろうか。