すると朝日も批判の矛先を転換する。11月3日付の朝日記事は、産経が看板コラム・産経抄に「日本を貶める日本人をあぶりだせ」という見出しをつけてウェブ版で配信したことをとりあげ、〈あぶり出した後でどうしようというのか。こうした言葉が、排他的な言説を拡散し、増幅させることにならないか〉と噛みついた。
両紙はもはや安倍首相も加計問題もそっちのけで互いの報道姿勢を誹謗中傷しあう泥仕合に突入した。メディア法が専門の服部孝章・立教大学名誉教授が語る。
「朝日が産経をいくら攻撃しても、親アベの産経読者に朝日批判のきっかけを与えるだけで、記事の信用アップにはつながっていない。むしろ、権力監視を忘れた低次元の罵り合いが、新聞ジャーナリズムの信頼度を低下させて読者を失っている」
“共倒れ”の道だ。
※週刊ポスト2017年11月24日号