国内

富岡八幡宮殺傷 第一通報者が聞いていた「異様すぎる言葉」

現場は騒然となった(写真:時事通信フォト)

 東京都江東区の富岡八幡宮で、宮司の富岡長子さんが殺害され、運転手も刺されて重傷を負った事件。富岡さんの弟の富岡茂永容疑者との間にあった宮司の地位をめぐるトラブルにばかり注目が集まっているが、事件現場では、“もう一人の女”の異様さが際立っていたという。第一通報者に接触したノンフィクションライター・柳川悠二氏がリポートする。

 * * *
 イベントの運営を手がけるAさん(41、自営業)は、12月7日の午後8時過ぎ、富岡八幡宮からほど近い自宅に帰ろうとしていた。地下鉄・門前仲町駅から大通りを歩いていると、一本の道を挟んだ富岡八幡宮の方向から人が争う声が聞こえてきた。最初は、カップルか夫婦の痴話喧嘩かな、と思った。しかし、叫ぶような声も耳に入ってきて、複数人による言い争いのようにも聞こえた。

 その声色が尋常ではない。気になって富岡八幡宮の方向に歩いて行くと、境内脇の通りをスーツ姿の男性が歩いて行くのが見えた。さらにもうひとり、ニット帽を被り、黒い服を着た人物がゆっくりとした歩調で前方の男性を追いかけていく。

 しばらく様子をうかがっていると、近所のコンビニエンスストアの方向から怒声が聞こえてきた。今度ははっきり、言葉を認識できた。

「お前だけは許してやる!」

 その言葉の異様さにこれは大事(おおごと)だと、Aさんもコンビニに向かう。その時、先ほどの黒い服を着た人物とすれ違った。身長160センチほどで、中肉中背。性別は判然としなかった。その人物は、小さな赤い橋を渡って、富岡八幡宮方向に入っていく。Aさんはその状況をこう振り返る。

「単なるケンカにしては、声の感じが普通じゃなかったんです。怖かったんですけど、『お前だけは』という言葉がどうしても引っかかって。それで恐る恐る、コンビニに向かって歩いていたら、途中にある家の住人が棒を持って家の前に出て来ていて、『今、歩いて行った女の人は、日本刀を持っていましたよ』って。その道って、地元の人が積極的には利用しない道で、暗い場所だったから、日本刀に僕は気付かず、黒い服を着ていたのが女性だということもその時に分かったんです」

 どこからか、「110番!」の声が聞こえ、Aさんはすぐに通報した。携帯電話の履歴にある通報時刻は午後8時26分。Aさんは第一通報者となった。

◆「首元に折れた日本刀が刺さっていました」

「日本刀を持った女が、富岡八幡宮方面に向かって橋を渡っていきました。ニット帽を被っていて、黒い洋服で……」

 110番で出た警視庁の係員に状況を説明していると、コンビニ方向から若いカップルが走って来た。男性の方が、通報中のAさんに告げた。

「コンビニの前で、人が刺されています!」

関連キーワード

関連記事

トピックス

二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
新たなスタートを切る大谷翔平(時事通信)
大谷翔平、好調キープで「水原事件」はすでに過去のものに? トラブルまでも“大谷のすごさ”を際立たせるための材料となりつつある現実
NEWSポストセブン
4月3日にデビュー40周年を迎えた荻野目洋子
【デビュー40周年】荻野目洋子 『ダンシング・ヒーロー』再ヒットのきっかけ“バブリーダンス”への感謝「幅広い世代の方と繋がることができた」
週刊ポスト
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
小野寺さんが1日目に行った施術は―
【スキンブースター】皮下に注射で製剤を注入する施術。顔全体と首に「ジュベルック」、ほうれい線に「リジュラン」、額・目尻・頰に「ボトックス」を注入。【高周波・レーザー治療】「レガートⅡ」「フラクショナルレーザー」というマシンによる治療でたるみやしわを改善
韓国2泊3日「プチ整形&エステ旅行」【完結編】 挑戦した54才女性は「少なくとも10才は若返ったと思います!」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン