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ダンサー考案の「カラフィット」 終わった後に涙する人も

高齢者施設や病院、スポーツクラブでも好評のカラフィット

 歌を歌うという行為には、楽しい、高揚するという気分的な効果のほかに、いろいろな肉体的な効果もあるようだ。

 長年、プロダンサー、トレーナーとして活躍してきた周防進之介さんが、筋肉の動きや体のメカニズムを研究し、歌と融合させて生み出したエクササイズ『カラフィット』が今、若者のフィットネスとしてだけでなく、高齢者施設や自治体の介護予防イベントなどでも大人気なのだという。東京・池袋にある「デイサービス ありがたい 池袋」で10人の高齢者が集って『カラフィット』を楽しんでいるところにうかがい、周防さんに話を聞いた。

 一戸建ての大きなリビングで行われる「デイサービス ありがたい 池袋」には、70~80代の男女10人が集合。高齢者向けの『カラフィット』は終始いすに腰かけたままで行うので、多少、体に不自由があっても参加できるのが特徴の1つだ。

 カラオケ画面に最初に流れたのは『お祭りマンボ』(美空ひばり/1952年)。インストラクターの葉月理絵さんの響く声と、周防さんがリードする簡単な動きで声慣らしと軽いウオーミングアップを図る。参加者の声や動きはまだ小さいが、ノリのいいリズムに合わせて体を揺らし、気持ちが高揚していくのが見てとれる。

 60分のセッションのうち、半分の時間をウオーミングアップに充てるという。手指を閉じたり開いたり、腕を伸ばして手首を上げたり下げたり、腕を横に伸ばしてねじる、上半身をねじる。足首、股関節、肩、首などを回す。太ももを上げて足踏み。着席のままだが、かなり入念に体中の筋肉や関節を動かす。

「最近、歩いていなかったのよ~」と足をさする人など、みんな足腰に気になる箇所が多いのだろう。熱心に動かしたり確かめたりしている。

 また「1、2、3、4」や、口腔機能を高める「パタカラ」や、単なる言葉遊びの「カラアゲ」、「アゲダマ」など、必ず発声をしながら行う。

「声を出しながらやると血圧が上がらないんですよー」と、いいタイミングで周防さん。なるほど、これならつい大きな声を出したくなる。

 お茶休憩を挟んでいよいよカラオケ本番。ウオーミングアップしながら覚えたいろいろな動きを、高齢の参加者には懐かしい歌謡曲を歌いながら行う。この日は『高校三年生』(舟木一夫1963年)と『愛燦燦』(美空ひばり/1986年)。カラオケといってもみんなで声を合わせるので恥ずかしさはない。体も充分に温まり動きも滑らか。カラオケ画面の歌詞と周防さんの動きに集中しながらも、メロディーにのってみんな笑顔だ。

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