今後、もう一度工事説明会を開いた上で工事に着手するという。これまで“都民ファースト”を喧伝してきた小池都知事に住民の声は届いているのか。
「そこまでは私もわかりません。反対意見があることは上の建設局には上げていますが、私が直接知事には上げておりませんので、把握しておりません」(前出・課長)
◆訴訟を起こしてもなかなか勝てない
西氏に突如降りかかった窮地だが、これは決して他人事ではない。2014年、東京都江戸川区で国交省が進める「スーパー堤防事業」のため、約90世帯の住民が立ち退きを迫られ、新宿区でも都営アパート住民が新国立競技場建設のため、2016年1月末までに半ば強制的に移転させられた。
公共事業問題に詳しい法政大学名誉教授で弁護士の五十嵐敬喜氏は解説する。
「公共事業は規模の大小はあるが、全国各地で行われている。公共事業は国や自治体が税金を使って行うもので、必ず手続きを踏んでいる。だが、手続きが充分に住民に伝わっていないためにいきなり工事が始まるということも少なくない。いちばんの問題は住民の意見が反映されず、訴訟を起こしても勝てないことが多いこと。ですが可能性はゼロではありません。現地レベルでは反対の声を上げ、議会に陳情したり、行政と根気強く対話していくことが大事です」
最後に西氏はこう小池都知事に訴えた。
「皮肉にも私が暮らす杉並区は“アニメのまち”を標榜しています。漫画文化の担い手の1人として、ただ穏やかに仕事をさせてほしいだけ。小池都知事は私たち都民を守る気はあるのでしょうか?」
小池都知事が掲げる“新しい東京”を作るための3つのシティの1つ『ダイバーシティ“誰もがいきいき生活できる、活躍できる東京”』の実現のためにも、ぜひ耳を傾けてほしい。
※女性セブン2018年2月8日号