訪日外国人客を意識した高感度なリニューアルなど見られる中、実現の可否はともかく、特異なコンセプトを有する宿泊プランを打ち出す動きが水面下で動き出している。歌舞伎町エリアのホテルならではの魅力にフォーカスした“体験型ホテル”としての可能性を模索する動きだ。コト消費はホテルをも席巻している。
有名なゴールデン街も近く、終夜営業の個性的な飲食店も多くある歌舞伎町。そうした飲食店とタイアップしたプランはもちろんであるが、浄化されてきたとはいえ、いまだにグレーなイメージが残る町のお店といえば風俗店が想起される。性風俗店を除くお店としてまず思い浮かべるのがホストクラブやキャバクラだ。
ホストクラブなど一度行ってみたいという女性の声を聞くこともある。また主たるエリアは異なるが、ゲイバーなどは男女ともに一度は体験してみたいという人が多い。日本人ばかりでなく訪日外国人客も興味津々だという。とはいえ、料金への不安など実際出向くのはハードルが高く心配が先立つことは容易に想像できる。
ホストクラブの運営会社による「歌舞伎町ブックセンター」も話題だ。歌舞伎町のラブホテル街で「愛」をテーマにした約600タイトルの本を扱う。歌舞伎町の伝統ともいえる風俗を文化という視点から次のステージへ移行する試みともいえる。
広い意味での風俗は、ならわしの時間を経て文化になる。ホテルは街の文化的成熟度のメルクマール。近い将来、ホテルの信用力を担保にした「ホストクラブ体験プラン」「ゲイバー体験プラン」などが誕生するかもしれない。
一方でナイトタイムエコノミーに関しては、「治安が乱れる」「働き方改革に逆行」といった懸念も指摘されている。今回は歌舞伎町とホテルにフォーカスしてみたが、観光立国の実情は、既存の概念にとらわれないトライ&エラーの積み重ねなのかもしれない。