「中には『自分もやられてきているし、これくらいは暴力じゃない』と考えている人もいる。幼少期の体験から、DVが当たり前になってしまうのです。完全に“負の連鎖”です」(山脇さん)
DV家庭の激増を前に、子供たちの救済が急がれるが、残念ながら行政の対応は遅れている。第三者が通報できる児童相談所や学校の教育相談所があるものの、躊躇してしまう住人が多い。
「現代社会は人間関係が希薄ですから、『あの家はDVか虐待が起きているのではないか』と薄々気づいていても、深入りしないかたが多いんです。また、家庭内のDV加害者は外面がいい人間が多く、そもそも周囲の人間が気づかないケースも散見されます」(元児童相談所職員)
欧米に比べて当事者が駆け込める専門ケア施設も少なく、DV加害者は、「殴った後は普段以上に優しくなる」ことが特徴で、家族が離れられない共依存の関係に陥りやすい。
「DVに苦しむ母親に勧めたいのは、『宣言』と『実行』です。『次に暴力を振るったら子供を連れて出て行きます』と宣言し、殴られたら本当に出て行く。ほとぼりが冷めたら戻ってもいいですが、また一度でもDVがあれば即座に出て行く。これをやると、父親が“学習”するんです。殴ると出て行ってしまう、と。それでもDVがやまないときは、離婚しましょう。子供の成長にとって悪影響しかないですから」(山脇さん)
※女性セブン2018年2月22日号