「年を重ねるとその分、同じせりふでも自然と重みが出てしまうようで…。若い頃は、全然力を込めていないのに、愛情や悲しみの深さが伝わってくる先輩方を見て、その技術が欲しくてたまらなかった。でも今は逆に、ピチピチした脳天気さや無邪気さを出す方が難しい。だから、昔の役を演じる時は毎回、“若かったら、同じせりふでもこう言うかな”と、当時の気持ちを思い出しながら臨んでいます」
『美少女戦士セーラームーン』で14才の月野うさぎを演じる時は、20代の葛城ミサト役以上に気持ちの“若返り”を意識しているという。
「家で昔の映像を見て、キーやテンションの高さを確認してから、音合わせをします。そうした中で気づいたのは、大事なのは、演じる時の“気持ち”だということ。“14才の声を出す”のではなく、役であるうさぎちゃんになりきり、大切な人を守るためにはトコトン突き進んじゃう、まっすぐで無謀な少女の気持ちになる。その時は、50才の自分を忘れるんです」
若い女の子の気持ちを想像できるよう、日常生活でも、みずみずしい気持ちを保つようにしていると言う。
「女子会をしてはしゃいだり、おいしいものを食べたり、なるべく好奇心のおもむくままに行動しています。今は40才から始めた日本舞踊のお稽古に勤しんで、気持ちを上げています」
高い声が若い声というわけではない。そこに入る気持ちの若さが大切なのだという。逆に、若々しい気持ちが、声の高さや張り、勢いを生み出しているようだ。
■撮影/政川慎二
※女性セブン2018年3月1日号