もちろん、この日記だけで、慰安婦についてすべてがわかるものでもない。同書だけで決めつけをするのは非常に危険である。

 しかし、この日記が慰安婦の本質に関する第一級の資料であることに疑いの余地はない。そして、そこから「性奴隷」も「強制連行」も導き出すことは不可能である。

 慰安婦問題は、政治利用されていいものではない。この日記が、問題を両国が客観的に見るきっかけになることを切に願う。

【PROFILE】崔吉城●1940年韓国・京畿道生まれ。ソウル大学卒業。1972年に来日し、筑波大学大学院に学ぶ。帰国後、陸軍士官学校、中央大などの教授を歴任。1991年に再来日し広島大学教授を経て現職。2001年に帰化。近著『朝鮮出身の帳場人が見た 慰安婦の真実』(ハート出版刊)が話題に。

●取材・構成/大木信景(HEW)

※SAPIO2018年3・4月号

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