「来年は天皇の生前退位という一大イベントがあり、恩赦も予定されている。再来年には東京五輪が控え、オウム死刑囚の執行は“今年しかない”との暗黙の了解が法務省内にはある」(前出・司法記者)
法務省関係者はこう話した。「7月に上川(陽子)法相の欧州外遊が予定されていて、8月に入れば自民党総裁選の準備に政治家は忙しくなる。9月の総裁選が終わり、内閣改造で法相が替わることがあれば、すぐに執行命令書にサインできる状況ではなくなる。年末に近づけば目前に迫った生前退位の祝賀ムードに水を差しかねないので適切でないとの声が省内にある」
前出・青木氏も「国会開会中に死刑執行はしないとの過去の慣例に倣えば、仮に延長がないとして6月20日の国会閉会後がひとつの焦点になる」と話す。アレフから離脱した『ひかりの輪』代表の上祐史浩氏は本誌取材にこう答えた。
「死刑執行後に心配されるのはアレフ信者による後追い自殺などです。今でもオウムの後継団体であるアレフは“自分たちの信仰が麻原尊師を生かしている”と信じて活動している。死刑が執行されない限り、アレフの組織延命と“麻原信仰”は止まりません」
いまだ麻原死刑囚を「開祖」と位置づけるアレフの今後の動向にも注目が集まっている。
※週刊ポスト2018年6月8日号