「私たちの現役時代には、色んな人の面相を学びながら、スリや出歯亀などの“目の動き”の違いで犯人としてマークし、検挙してきました。だから不審者の“目の動き”は大変重要なところ。

 現役時代の訓練の蓄積が刑事としての勘となり、時には院内での常習窃盗犯の逮捕につながることもあります」(現役の院内ポリスとして活躍する聖路加国際病院の佐藤太郎氏)

 2004年、慈恵医大病院が全国で初めて「院内交番」と呼ばれる渉外室を設置した際に“院内ポリス第1号”として勤務した元警視庁捜査一課管理官の横内昭光氏によれば、病院内で起こる事件で最も多いのは「窃盗」だという。

「入院病棟の貴重品入れはドライバー1本で開けられるものが多い。見舞い客を装って病院に侵入し、入院患者の検査の時間を狙って貴重品を盗んでいく“病院専属泥棒”は全国の病院にいます」

 厄介なケースもある。

「私は医療関係者などを相手に全国で講演も行なっていますが、その際に『手術室から、使っていないはずの薬がなくなった』と相談されたこともある。

 限られた人しか入れないから“内部犯行”が疑われるのですが、監視カメラなどもないから“迷宮入り”してしまいがちです。手術室にはモルヒネなどの麻薬もあるので、そうした薬剤管理をどうするかは今後の課題です」(横内氏)

※週刊ポスト2018年8月10日号

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