「外国人犯罪は近年、ほぼ横ばい状態」「外国人観光客は急増したが、短期滞在者の総検挙人員はそれほど増えていない」──警察は、日本に外国人が激増する中でも、彼らによる犯罪は増えていないとアピールしている。しかし、その内実は全く異なるようだ。元兵庫県警通訳捜査官で関西司法通訳養成所代表の清水真氏がリポートする。
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警察庁の統計によると、外国人犯罪の検挙人員は2004年をピークに減少し、2011年あたりからほぼ横ばいとなっている。しかし、私はこのデータをまったく信用していない。なぜならこの統計は、あくまで「警察が検挙した外国人犯罪」を表しているだけで、「日本で発生した外国人犯罪」そのものではないからだ。
統計上で2004年が外国人犯罪のピークとなった理由は、当時のマスコミに「外国人狩り」と揶揄された不法滞在者取締り強化の結果である。2003年末、警察は不法滞在者が外国人犯罪の温床になると位置付け、「不法滞在者を今後5年間で半減させる」ことを関係省庁に求めた。警察をはじめ関係行政機関が連携し、総力を挙げて摘発が行われた。
このキャンペーンは不法滞在者数が6万人に減った2008年頃に終了し、検挙数はその後横ばいとなった。現在、人手不足解消や2020年東京五輪を理由に、政府はさらに多くの外国人を呼び込もうとしている。もし、当時のような取締りをいま実施すれば、検挙数はもっと増える可能性がある。
さらに統計に表れない実態として、警察の“敵”といえる存在を二つ指摘しておきたい。「入国管理局(入管)」と「万引きGメン(小売店などで店内を監視する私服警備員)」だ。