例えば、選手村跡地の大規模マンションが話題になっている晴海エリア。選手村とは晴海通りを挟んで向いとなる東側にはタワーマンションが林立している。その中でも兄弟関係にある2本のタワーマンションは2013年と2016年の竣工。あわせて1700戸弱のスケールだ。この兄弟タワマンで中古の売り出し中住戸は、レインズに登録されているだけで90戸強。なんと、全体の5%を超える住戸が中古市場に出ていることになる。

 私の感覚では全住戸の1~2%程度の住戸が売り出されているのが通常の状態である。

 例えばマンション管理業協会という管理会社の団体がある。ここの会員企業が首都圏において管理業務を受託しているマンションの戸数は2016年の4月時点で約309万戸。前述のように、2019年3月時点でレインズに登録されている中古マンションの在庫は4万7784戸。比率にすると約1.5%となるので、私の「1~2%程度」という感覚に合っている。だから5%超というのは、異様に多いと言わざるを得ない。

 都心の新築タワーマンションは、値上がり期待の思惑で買われやすい。だから、建物が完成した直後には大量の「新築未入居」住戸が中古市場で売り出される。しかし、それも2年ほどで収まる現象だ。この晴海の兄弟タワーは築3年と6年。いったい誰が売り出しているのかと考えてしまう。

 ひとつ言えるのは、新築も中古も市場はハッキリと供給過剰になっているということだ。普通、供給が多くなってそれに見合う需要がなければ価格は切り下がる。しかし、一見すると価格が下落しているようには思えない。しかし、水面下ではすでに高止まりしていた市場価格が崩壊しかけている。

 その証拠に、新築マンション市場においては一部のデベロッパー以外では値引きが常態化している。販売中に建物が完成してしまった物件では、ほぼ値引きが行われている。そして、23区内でも価格の高騰が激しかった城南エリア(世田谷区、品川区、大田区近辺)では、時期によっては売り出し中の物件の半数以上が完成在庫であったりする。

 城南エリアは、都心のように値上がり期待で新築マンションを購入するようなケースはほとんどみられない。住むために買う人ばかりなのだ。彼らの購買力と連動している個人所得を統計数字で確認しても、この6年でほとんど上がっていない。その間、公共料金や社会保険料は値上がりしているので、可処分所得は減少しているはずだ。であるにもかかわらず、マンションの価格だけが値上がりしてもそれに追いついていけないというのが現状だろう。

関連記事

トピックス

映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
日本初となる薬局で買える大正製薬の内臓脂肪減少薬「アライ」
日本上陸の内臓脂肪減少薬「アライ」 脂肪分解酵素の働きを抑制、摂取した脂肪の約25%が体内に吸収されず、代わりに体内の脂肪を消費
週刊ポスト
専修大サッカー部を辞任していた源平監督(アフロスポーツ)
《「障害者かと思った」と暴言か》専修大サッカー部監督がパワハラ・経理不正疑惑で辞任していた 大学は「警察に相談している」と回答
NEWSポストセブン
日本人パートナーがフランスの有名雑誌『Le Point』で悲痛な告白(写真/アフロ)
【300億円の財産はどうなるのか】アラン・ドロンのお家騒動「子供たちが日本人パートナーを告発」「子供たちは“仲間割れ”」のカオス状態 仏国民は高い関心
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
日本製鉄によるUSスチールの買収計画
【日本製鉄のUSスチール買収問題】バイデンもトランプも否定的だが「選挙中の発言に一喜一憂すべきではない」元経産官僚が読み解く
NEWSポストセブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン