24時間営業の是非を巡る議論が噴出するなど、平成30年を右肩上がりで成長し続けてきたコンビニのビジネスモデルが重大な岐路に立っている。令和時代に入り、コンビニはこれからどう変化していくのか。親会社の三菱商事から転じ、ローソン社長として4年目を迎えた竹増貞信氏(49)に、大手チェーンとして考える新たなコンビニ戦略を訊いた(聞き手/河野圭祐・ジャーナリスト)。
◆「縁」に引き寄せられて
──令和元年がスタートしましたが、平成元年(1989年)に何をしていましたか?
竹増:当時、私は20歳で大阪大学の2年生でした。ゴルフ部でしたので毎朝コンビニに寄り、買ったパンをバッグに放り込んでゴルフ場に出かけていましたね。
私は大阪の池田市で生まれ育ちました。1975年にできたローソン1号店は池田市の隣町である豊中市にありますし、生活圏内にローソンがたくさんあった。学生時代、毎日当たり前のようにローソンを使っていましたので、この立場に就いたことに縁を感じます。
──卒業後は三菱商事に就職した。
竹増:三菱商事とローソンが資本提携した2000年当時、私は畜産部門で豚肉を扱っていました。全国のスーパーに仕入れた豚肉を卸す仕事で、「どうしたら買ってもらえるか」と、いつも頭をひねっていました。家内に手伝ってもらい、「こんな料理を作ってみては?」と料理の写真とレシピを載せた店頭向けのポップ広告を作ったりしましたね。
それで、提携を機にローソンにも売りに行こうじゃないかと。当時のローソンの店舗数は7000店舗くらいで現在の半分ほどでしたが、それでも普通のスーパーとは桁違いの規模です。
たとえばローソンのトンカツ弁当向けの豚肉の商談が決まれば、とんでもないビジネスになる。当時から販売網と影響力の大きさを実感していましたし、私自身、「小売」に馴染みは深かった。三菱商事からローソンに移っても、「まったく別の仕事をしている」とは思わなかったですね。