リニアが開通する一方で衰退が避けられそうにないのが新幹線沿線だ。
例えば首都圏なら新横浜が要注意だろう。現在、新横浜は「新幹線の駅である」ということで街の価値が嵩上げされていると考えていい。しかし、新幹線は新大阪まで約2時間半、リニアの2倍の時間がかかるとなると利用者は減るだろう。またリニアは「新」のイメージだが、新幹線は「旧」になってしまう。人々の見る目が変わると、不動産の価値にも影響する。
さらに現在は賑わいが復活した熱海もリニア開通によって影響を受けそうだ。つまり、新幹線がマイナー扱いになると、沿線の街もマイナーに見られる。この例外でいられるのは京都くらいのものではないか。
逆に、奈良県内にリニアの駅ができればメジャー化することも可能だ。今は近畿圏の「不便な古都」だが、リニアが開通して駅が設けられればメジャーな観光地に変貌する可能性もある。また、その駅周辺の不動産価値も高まる。同じことは三重にも言える。今はやや交通の便が悪い伊勢神宮が今よりもメジャー化する可能性がある。インバウンドもたくさん押し寄せてくるはずだ。
いずれも、すべては約30年後の話であるが、東京という街を考えると2020年の五輪が閉幕すれば、しばらくは大きなイベントがなく、パフォーマンスも劇的には変わらない。だから、唯一、期待できるのがリニアの開通だ。そして、注目すべきは「品川」である。