ビジネス

新型カローラ 「日本専用設計」はこの12代目で最後か

若年層の取り込みを狙うトヨタ「カローラスポーツ」

若年層の取り込みを狙うトヨタ「カローラスポーツ」

 本稿執筆時点では筆者はセダン、ワゴンとも本格的にテストドライブしていないが、クルマの基本部分を共有しているハッチバックのカローラスポーツを500kmほど走らせてみたときの印象に照らし合わせると、アクシオ/フィールダーとは比べ物にならないほど上がっていることは容易に想像がつく。

 新しいカローラ族は、トヨタのクルマづくりの新規格「TNGA」のコンパクトクラス向け技術セットで作られている。つまりプリウス、「C-HR」などと共通性が高いのだが、カローラスポーツはその中でもクルマの完成度が1段階高い印象だった。

 単なる速さだけでなく、スポーティな走りをしてもクルマの動きが落ち着いているのが特徴で、S字カーブでステアリングを切り戻すときもクルマのテールが変にブレたりぐらついたりすることが非常に少ない。また、舗装の補修跡が段差になっている箇所などでも、ボディのビビりやガツンという突き上げは最小限だった。

 ドライビングインフォメーションが希薄であることをはじめ欠点もあるにはあるが、それでも競争の激しいグローバルCセグメント(フォルクスワーゲン「ゴルフ」などのクラス)において、相当ハイレベルな部類に入ることは間違いない。

 セダン、ワゴンはカローラスポーツよりナローボディだが、走行性能を決める重要なファクターであるトレッド(左右輪の距離)はカローラスポーツとほとんど変わらないため、同じような特性を持っているものと考えられる。

 また、比較的車両価格の安いグレードに最高出力140psのパワフルな1.8リットルエンジンを搭載するなど、クルマを魅力的にするという点ではカローラスポーツ以上に腐心している痕跡が随所に見られる。こういった仕立てはひとえにユーザー層の若返りを目的としたものと言える。

「これでもユーザー層の若返りが果たせるかどうかは未知数。昨年出たカローラスポーツでは若年層もある程度取り込めたので、若者にカローラは絶対受け入れられないわけではないということはわかりましたが、若年層はセダンはまず買いませんし、ワゴンを買うお客様はSUVに流れている。

 どうしてもカローラでなければという決定的な訴求力があるかというと、依然として弱い」(首都圏のカローラ店首脳)

 トヨタは新型カローラ発売後も、5ナンバーのアクシオ/フィールダーをしばらく継続販売するという。そうした“保険”がありながらも、セダンとワゴンを日本専用に用意したトヨタの心意気がユーザーに響くかどうか、興味深いところだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
どんな演技も積極的にこなす吉高由里子
吉高由里子、魅惑的なシーンが多い『光る君へ』も気合十分 クランクアップ後に結婚か、その後“長いお休み”へ
女性セブン
『教場』では木村拓哉から演技指導を受けた堀田真由
【日曜劇場に出演中】堀田真由、『教場』では木村拓哉から細かい演技指導を受ける 珍しい光景にスタッフは驚き
週刊ポスト
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
各局が奪い合う演技派女優筆頭の松本まりか
『ミス・ターゲット』で地上波初主演の松本まりか メイクやスタイリングに一切の妥協なし、髪が燃えても台詞を続けるプロ根性
週刊ポスト
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン