なかなか収束する気配がない新型コロナウイルスについて、興味深い研究結果がある。イタリア・パドバ大学などの研究チームが行なった、男性ホルモンとコロナの関係を示した研究結果から、「薄毛の人はコロナの感染確率が高い」という情報が話題となったのだ。この研究結果は、がん専門誌『アナルズ・オブ・オンコロジー』に発表された。
ソフトバンクグループ会長の孫正義氏がSNSで紹介し、〈マジか?!〉と投稿した同研究は、前立腺がん治療でアンドロゲンという男性ホルモンを減らす薬(ADT薬)を使用した人、していない人の1万人あたりのコロナ感染者数を比較した。
結果、ADT薬を使用した人は1万人あたり8人だったのに対し、使用していない人は同31人と4倍近い差が生じたのだ。大阪健康安全基盤研究所理事長・奥野良信氏(ウイルス学)が解説する。
「新型コロナはウイルスが臓器の細胞表面にある『ACE2』という受容体と結合することで感染します。その際、プロテアーゼという酵素がウイルスを活性化させることで感染しやすくなります。
そしてアンドロゲンという男性ホルモンは、このプロテアーゼという酵素の量を増やすことも分かっています。アンドロゲンが多い人ほど感染する確率が高いとする結果は肯けます」