ビジネス

コロナ禍の「勝ち組企業」はなぜ北海道発祥ばかりなのか

キャッシュ元手にM&Aで業容拡大

 アインのM&A攻勢は止まらない。今年2月、病院給食を手がけるシダックスグループから病院や官公庁で400店超の売店を受託運営するシダックスアイ(東京・調布市)の全株式を15億円で取得した。

 3月には同業の土屋薬品(長野市)の全株式を買い取り、完全子会社とした。土屋薬品は長野県内で調剤薬局36店を運営する県内最大手だ。

 アインHDの2020年4月期の売上高は2926億円。20年連続の増収だ。店舗数は1151店舗。年間に処理する処方箋の枚数は2294万枚。薬剤師の数は5273人。日本一の調剤薬局に急成長した。

 M&A資金は原則として自前だ。本業で稼いだキャッシュ(現金)で出店や買収資金を賄う。手元資金が長短借入金を上回る実質無借金経営である。M&Aで事業を拡大しても自己資本比率は57.3%、自己資本当期利益率は8.5%と抜群の収益力を誇る。

 北海道発の元気印企業の共通点はM&Aを最大限に有効活用していることだ。アインHDは道内を押さえた後、大企業の少ない東北のチェーンを買収。力を蓄えた上で首都圏へと攻め上った。しかも、首都圏では強豪とガチンコ勝負を避け、2番手に徹し、時節の到来を待ったことが成功の秘訣である。

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